今日もシンソウノイズをプレイしています。
前回同様、章ごとに振り返っていきます。
第4章
3章で触れられた組織・メイズを舞台とするお話です。
予想通り、異能力を用いたトリックが登場しましたね。
今回はフーダニットの要素も加わって、推理パートにも気合を入れて臨むことが出来ました。
推理の難易度も上がるかと思いましたが、一真達が上手く能力を用いて
ヒントを出してくれるので、トリックが理不尽化する事態は避けられました。
それにしても、一真はこのままメイズに所属して新たな事件と絡ませていくのだと思っていたので、
メイズに加入する誘いを断らないと真相に辿り着かないのは、メタ的な視点で考えると意外でした。
冷静に考えれば、沙彩に雪本さくら殺しの犯人の目星が付いたわけでもなく3班の活動からかけ離れてしまうので納得ですね。
4章は黒月沙彩に焦点を当てた話でもあるのですが、
桃園萌花が一真と事件を通して成長していこうとする姿に注目したいです。
自らの才能を全く活かせていない彼女が「役に立つ無能」で居られなくなる心境の変化は、
今まで定義された彼女の人物像を思い浮かべるとかなり意外なことです。
肉体操作されたとはいえ好意を寄せていた人物にレイプされるという心の傷を負ったにもかかわらず、
記憶の消去を望まなかった選択に彼女の決意の本気度を感じます。
第5章
演劇部での騒動が描かれます。勿論、大鳥百合子が主役ですね。
読んでいる時は気になりませんでしたが、演劇「天使と悪魔」のオチが
『高所から救いを求めて飛び降りる』と読み取れるところは、今考えると不気味です。
緋村真里亜と藍原久子、両者の被害者像と加害者像は今までとは違った
性質を帯びていて面白いです。演劇のようにドラマティックで、最終的には穏便に解決。
あれだけプライドが高い真里亜が、事件に巻き込まれたからとはいえ自らを省みるとは思いませんでした。
傲慢な頃からカリスマ的な側面を持っていたので、人間的な素養は元来高かったのでしょう。
モブ以外には、腰巾着の藤崎恵美だけが悪印象を与えましたね。自業自得です。
おしおきされる顔が見たいぐらいですね……。
そして、雪本さくらについて新たに衝撃の事実が発覚しました。
「私が殺した」とは、罪の意識から百合子が放ったのかと思いましたが、
3章でひかりから暴露されるまでは知らなかったそうなので、違うみたいです。
嘘をついていなければ、ですが……。
さくらからの手紙を読んだことで、彼女を苛む悪夢の全貌が解き明かされました。
以前より話題には登っていましたが、義父が筋金入りのクズで胸糞が悪いですね。
僅かな時間しか見られなかった、殺意、そして深い絶望と戦う彼女の姿。
背景を知るとより哀れみが増しますが、既に手遅れなのも事実で、虚無感も増します。
手紙に記された、百合子についての葛藤と、決意と、僅かばかりの「認めて欲しい」という気持ちは、
異常な環境を耐え忍んだ彼女の強い心と苦しみによる叫びが伝わります。
ただただやるせない気持ちになって、言葉になりません。
性根は間違いなく良い子なのに、膨大な悪意のもと歪められ、苦しんで死ぬ理由がどこにあるのか分かりません。
どのゲームのバッドエンドよりも、ここまで1人の死について考えさせることはないでしょう。
何をどう、決着付ければ納得出来るのでしょうか。
分からない、分からない……。